「テラ:ザ・ガンスリンガー」は開拓者魂を揺さぶる国産RPGです。 このゲームは、あらゆる点において壮大な設定をはらんでいて、なおかつ西部劇チックなギミック、またスチームパンク/サイバーパンクを彷彿とさせるガジェットがうまく入り混じった作品に仕上がっています。 まず、大陸横断鉄道の存在。壮大な列車が西に向かう設定がまずは型破りです。それはあたかもそれだけで1つの都市として機能し、この列車の中だけでもシナリオソースが転がっているといっても過言では無い。特等客車には富豪が乗りゆったりとした旅が出来ると同じ場所で、喧騒絶えない3等客車での騒動が起こり、金品や場合によっては生命までも脅かされることもありえます。いわば現在の豪華客船以上にこの列車が1つの共同体として機能しています。 西へ向かった大陸横断鉄道は、ある地点で街を形成すします。 そして乗りこんだ乗客が、夢を求めてその街を拠点として仕事を求めるという図式が出来あがる。そこには魂があり、夢が眠っているかもしれないが、場合によってはそうした希望も打ち砕かれかねません。 西部劇をモチーフにしているので、そこでは当然トラブルは絶えないし、そのトラブルの演出が「ディーラー」(ゲームマスターのこと)の腕の見せ所です。 キャラクターは作成時に「フェイト」(行動理念のこと)をあらかじめ決めます。これはキャラクターの信条および生い立ちによって決められ、これをロールプレイに反映させて、ゲームを円滑に進め「パワーチップ」とよばれるボーナスポイントが配給されます。 この「パワーチップ」の配給には条件があり、自分がメインプレイヤー(これを「カラミティ・ノワール」という)である時に、「フェイト」を活用したロールプレイにおいて、ディーラーから配給され、メインプレイヤーは移動します。 逆にディーラーより、プレイヤーがある逆境や苦難に陥る場合(これを「カラミティ・ルージュ」という)があります。この間はそのキャラクターにとって厳しい状態ですが、これをうまく切りぬけることでやはり「パワーチップ」を獲得できます。 「フェイト」/「パワーチップ」/「カラミティ・ノワール」/「カラミティ・ルージュ」のそれぞれの要素をうまく活用することが、この「テラ:ザ・ガンスリガー」のゲームの肝かと思われます。 システム的には、トーキョーNOVAのルールを踏襲したシステムで、NOVAに明るいプレイヤーならば非常にとっつきやすいかと思われます。 行動判定にはトランプのカードを手札から使用します。ですので、いい手札は温存し、またぞんざいなところでは不要なカードを捨て札のごとくプレイします。カードをどのようにプレイするかは、ディーラー/プレイヤーの思惑/裁量/読みなどが絡んできます。 キャラクターの特徴をうまく活かすことによって得られるパワーチップを使うことによって、成功確率を上げることが可能になっています。 ルールブックの書き方も非常に親切に作られていて、フローチャートの順番でシーケンスが組まれている。これによりプレイヤーとディーラーの行動管理がやりやすくなっているかと思われます。 夢を追い求めて、西部に向かうキャラクターをうまく演じて楽しんでください。夢をかなえる大西部がきっとあなたを待っているはずです。 |